2.在宅で必要な設備

 

居住環境の確認

 在宅への移行を考え始めたとき、早めに居住環境を確認しておくことを勧めます。ただ、やみくもに材料を揃えたり改築をするのではなく、お子さんの重症度と環境によって変更や追加の必要度が異なりますので、情報を収集し慎重に進めてください。通院時にはどのように移動するか、時間はどのくらい必要か、加湿器の電源も必要か、など、年齢や体格によっても条件は様々です。すでに在宅に移行されている患者さん宅を実際に見学されて参考にするといいでしょう。

 

 電源

 

A. 一戸建て住宅に住んでいる場合

 人工呼吸器の他、加温加湿器、パルスオキシメーター、電動吸引器、寒いときには電気毛布など電力を要する機器がいくつも使う場合があります。通常の電気料金は従量電灯B60アンペアが上限となりますので、ご使用の消費電力を試算してある程度、余裕のある契約をしてください。

もしも大型冷蔵庫、複数台のエアコンなどを動かすことが想定される場合は60アンペア以上の契約が必要ですので、従量電灯Cに変更する必要があるかもしれません。

 

B. 集合住宅に住んでいる場合

 集合住宅全体での許容量がありますので、一戸建てと同じように契約アンペアを変更できるとは限りません。大家さんと電量会社に確認してから動きましょう。場合によっては住宅全体への引き込み線や屋内配線の変更などが必要になるかもしれませんので、早めに確認してください。

 

 

 部屋               

車から降ろして玄関、部屋にたどり着くまでにいろいろな障壁があります。介護用に設計されていない住居では入り口が狭い、角度のある階段や通路など、簡単には解消できない部分もありえます。

 リフォームには時間がかかりますので、早めに対応を検討しましょう。

        場所は駐車場に近いか

        間取りに余裕はあるか

        ベッドの購入の有無  成長を見越して余裕あるサイズ

        補助金の有無

        1階か2階以上か

        エレベーターの有無

 

        電源の確認 

  医療器機を持ち帰ると電気の使用量が増えます。エアコンやホットプレートなどを使うと一気に電気を使いますので、ある程度、余裕のある容量で契約しましょう。図のよう

なコンセントはアースがあり、ロック式になっていて回さないと抜けません。タップもこのような3Pタイプを選びましょう。

たとえば中部電力には家庭での電気容量を算定するサイトがありますので、標準的な必要アンペア数が計算できます。初期値にそれぞれの家電の電気容量が設定されていますのではっきりわからなければ台数のみの入力でも計算ができます。ただし、すべての電気器具を同時に使用することは通常ありませんので、結果を参考値として、そこに医療機器の消費電力を加算して、容量が足りているかを検討しましょう。

http://www.chuden.co.jp/home/shokai/ampere_check/ampere_input/index.html

           呼吸器              アンペア

           酸素濃縮器            アンペア

           加温加湿器            アンペア 

           パルスオキシメーター       アンペア

           電気毛布                  アンペア

 

 

□ 非常用電源

非常用電源は、災害になどに必要となりますが、近年はハイブリッド車が増えて100V電源の確保が以前よりも容易になりました。ただ、容量に制限がありますので、呼吸器や加湿器などの消費電力を確認しておいた方がいいでしょう。自家発電装置はお祭りの屋台などでみかけますが、動作音が非常に大きい欠点があります。また交流の波形が正弦波になっていない安価な発電機は医療器機には適さないので確認しましょう。車のシガレットから100Vに変換する場合も正弦波で出力できるタイプを選ぶことと、シガレットでは容量に制限があるため、できればバッテリーから直接供給できるように配線を検討したほうがいいでしょう。カセットボンベ型の発電機は保守がしやすいので、人気があります。

           呼吸器バッテリー     時間

           車 インバーター (正弦波が望ましい)

           自家発電装置  

□ ハイブリッド車、電気自動車   

□ カセットボンベ型  □ プロパンボンベ型

□ 重油型(安いが管理が面倒)

        入浴  

入浴は毎日の大きなイベントです。訪問看護などを利用して入浴介助を依頼される家庭も多いでしょう。呼吸の補助をしながらの入浴は人手もかかりたいへんな作業です。部屋から浴室までの移動がしやすいか、廊下、入り口などの幅は大丈夫か確認しましょう。

        入浴方法

        部屋との位置関係

        廊下、間口の広さ

 

 

            

 通院のために福祉車両を購入されることがありますが、リフトをつけるための改造が施されているので、中古でも高価です。病状やお子さんの体の大きさによって必要な車種も変わりますので、すでに購入されている方たちにもよく相談されるといいでしょう。

        福祉車両購入の有無

           スロープタイプ  ストレッチャーの乗降に向いている

           リフトタイプ   主に電動リフトで車いすを持ち上げるタイプ