福祉制度  

主な医療福祉制度について
 在宅医療は医療制度だけでは不十分で、福祉のいろいろなサービスを利用することで家族の負担が軽減されます。しかし制度が複雑であることに加えて医療関係側からは福祉制度がわかりにくく、福祉関係者側からは医療がわかりにくいといった問題が根強く残っています。以前はその両方を手探りで解決しなければならないこともありましが、岐阜県では重症心身障がい在宅支援センター「みらい」が開設されたことで相談窓口が一本化されました。分からないことがあったら遠慮なく相談してください。

T.公的助成制度について

医療給付
患児の医療費自己負担分を国・県・市町村が助成する制度。公費負担医療制度とも言います。
岐阜県の場合、医療費の自己負担は義務教育終了までは免除され、出生届と連動して手続きが行われるので特別な手続きは不要です。
しかし、身体障害者手帳は別で、取得が遅れるとバギーや車いすなどを作るための申請ができないので退院の見通しが立ったら早めに手続きをしましょう。
ただし、疾病の状況や年齢によっては申請が簡単には受理されないことがありますのでご注意ください。


1.福祉医療費助成事業
     重度心身障害者、乳幼児、ひとり親家庭等の保健向上、福祉の推進を図ることを目的に市町村が医療費自己負担分を助成する制度です。
     重度心身障害者医療の対象児は乳幼児医療費助成の対象にはなりません。


  1)乳幼児医療助成制度
     小児の医療費の自己負担部分を市町村が助成してくれます。
     岐阜県では全市町村で義務教育終了まで助成。一部の市町村は高校生も対象。
     出生届を出せば必ず受けられる制度なので特別な手続きは不要です。


  2)重度心身障害者医療 (重要)
     在宅医療を行う上では必須の制度です。
     身体障害者手帳1〜3級または療育手帳
A1,A2,B1を所持しているお子さんが対象になります
 
    


以下の制度は在宅医療で必須となるものではありませんが、公的制度の理解のために挙げておきます。
  
2.養育医療
     未熟な状態で出生し入院治療が必要となった新生児が対象となります。
     入院と同時に病院から手続きをするように言われます。給付期間は退院で終了となります。


3.育成医療(自立支援医療)
     身体に障害がある18歳未満の児童で、手術等の治療によって軽快の見込みのある場合が対象となります。
     申請し認められた期間内であれば入院・通院ともに給付対象となります。

       ※18歳の誕生日以降は更生医療となる。対象疾患の身体障害者手帳取得が必須です。

4.小児慢性特定疾病
     疾患の治療研究推進と医療費の負担軽減を目的として行われる事業ですが、岐阜県では乳幼児医療費助成制度で医療費がカバーされています。
     取得することで入院の給食費などの自己負担部分が軽減されます。

     対象は18
歳未満の児童で、その病状が国の定める基準に該当している場合に対象となります。
     人工呼吸器を使っている場合などは重症申請をすることでさらに自己負担が軽減されます。

      ※1年毎の更新で20歳まで可能。その後、指定難病に切り替えられる疾患もあります。(平成291月現在 704疾病)

5.指定難病
     国が定める対象疾患の方が障がい福祉サービス等を利用することができます。
     身体障害者手帳を取得していなくても、必要と認められた支援を受けることができます。
     一部の疾患は小児慢性特定疾病と重複しますが、その場合は小児慢性特定疾病を優先します。

6.産科医療保障制度
     出生した児が補償対象基準に該当し、運営組織が補償対象として認定した場合に補償金が支払われる制度です。
     先天性要因や出生後の要因による脳性麻痺など除外基準に該当する場合は補償対象とはなりません。
     申請期間は児の満
1歳の誕生日から満5歳の誕生日までです。


U.社会福祉制度
各市町村の障がい福祉課等の窓口に確認・相談する必要があります。

1.身体障害者手帳の取得(重要)
    病状ごとに異なった診断書が必要で医師が作成します。
    この診断書を提出し審査を経て認定されると手帳が交付されます。
    手帳は視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部機能障害などに分類されます。
    この申請が認定されて初めて車いすなどの制作にとりかかることができます。
    障害認定は「概ね満3歳以降」とされていますが、永続的に固定されていると判断される重度の脳障害や心疾患などでは1歳前でも認定されることがあります。
    申請から認定まで●ヶ月かかりますので、退院までに手続きを完了し手帳を取得しておくようにしましょう。

2.療育手帳の取得(重要)
    知的障害児(者)が各種の支援や相談を受けやすくするため、手帳を交付しています。
    児童相談所又は知的障害者更生相談所において判定され交付を受けることになります。
    知能検査により重症度が区分されるため、2歳以前の判定は難しいとされていますが、
    病状等によっては2歳以前であっても取得できる場合があるため主治医・児童相談所等に相談てください

    特に退院後、短期入所制度を利用する場合には必要となることが多いので
退院までに取得するようにしましょう。

3.障害児に関する手当

1)特別児童扶養手当
    一般的な児童扶養手当は親の所得に応じて支給額が決まりますが、特別児童扶養手当は親の所得と病状によって支給額が決まる制度です。

支給対象

精神又は身体障がいを有する20歳未満の児童を監護又は養育している方に支給されます。

支給制限

@    受給者もしくはその配偶者、又は扶養義務者の前年の所得が一定金額以上あるとき
A    児童が施設(通園施設は除く)に入所中のとき
B    児童が法に定める公的年金を受給しているとき

手当額

対象児1人につき   1級 月額 51,500円
          2級 月額 34,300円

支給

毎年4月、8月、12月の3回に、あらかじめ届け出た金融機関の口座に振り込まれます。

申請手続

認定請求書、戸籍謄(抄)本、住民票の写し、認定診断書(身体者障害者手帳所持者又は療育手帳所持者は診断書を省略できる場合がある)を添えて、居住地の市町村役場に提出してください。



2)障害児福祉手当
     

支給対象

精神又は身体に重度の障がいがあるため、日常生活において常時介護を必要とする状態の20歳未満の方に支給されます。

支給制限

@    受給者もしくはその配偶者、又は扶養義務者の前年の所得が一定金額以上あるとき
A    児童が施設(通園施設は除く)に入所中のとき
B    政令に定める公的年金を受給しているとき

手当額

 月額 14,600円

支給

毎年2月、5月、8月、11月の4回に、あらかじめ届け出た金融機関の口座に振り込まれます。

申請手続

認定請求書、所得状況届、戸籍謄(抄)本、住民票の写し、認定診断書を添えて、居住地の市町村役場に提出。

 

4.補装具・日常生活用具等

1)補装具費の支給
身体上の障がいを補うための補装具費が支給(購入・修理)される制度。費用は種類別に基準額が決められています。支給等の際、本人及び家族の課税状況に応じて必要の一部を負担する場合があります。

●補装具の種類

障がいの種類

種 目

肢体不自由児(者)

義肢、装具、座位保持装置、車いす、電動車いす、歩行器、歩行補助つえ、重度障がい者用意思伝達装置

障害児のみ(座位保持いす、起立保持具、頭部保持具、排便補助具)

視覚障がい児(者)

盲人安全つえ、義眼、眼鏡

聴覚障がい児(者)

補聴器

内部障がい児(者)

手押し型車いす等

 

●交付・申請手続
補装具(購入・修理)支給申請書・指定医療機関の意見書を市町村に提出。18歳以上の場合は、身体障害者更生相談所において判定。市町村において支給決定後、補装具作製・修理業者と本人が契約をし、作製・修理を行います。いったん作ると ●●間は作ることが出来ません

2)日常生活用具の給付・貸与
日常生活上の便宜を図るため、用具の給付(貸与)する制度。本人及び家族の課税状況等に応じて費用の一部を負担する場合がある。品目や対象者はそれぞれの市町村が定めています。

 ●用具の一例

種目

品目

対象要件

在宅療養等支援用具

ネブライザー(吸入器)

呼吸機能障がい等

電気式たん吸引器

自立生活支援用具

入浴補助用具

下肢、体幹機能障がい

移動・移乗支援用具

平衡機能又は下肢、体幹機能障がい

住宅改修費

居宅生活動作補助用具

下肢、体幹機能障がい等

   

    ●給付手続
    日常生活用具給付申請書を市町村に提出。市町村において決定後、給付券が発行されます。給付券を業者に提出し、用具を購入できます。

 5.住宅の改善促進助成
重度の身体障がい児(者)の地域社会生活を援助するため、住宅改善に必要な費用の一部の助成を受けることができます。(新築を除く)事前に要相談。

 6.重度身体障がい者介助者用自動車購入、改造費用の助成
車いす等を使用する在宅の重度身体障がい者が利用するため、介助者が運転する自動車をリフト付き等に改造又は購入する経費の助成を受けることができます。