12.気管切開

 

どのようなときに気管切開を行うか

 

気管切開の適応には

1.上気道の高度の狭窄もしくは閉塞があるとき

2.下気道の分泌物貯留の処置と予防が必要なとき

3.呼吸不全に対する呼吸管理が必要なとき

が挙げられます。また気管切開に至る状況として、緊急気管切開が必要な場合と計画的気管切開を行う場合があります。気管切開には合併症もあるため、計画的気管切開に関しては絶対的な適応を定義するのは難しいと思われます。医学的状況に療育環境なども併せて適応を考えていく必要があります。

 

気管切開の合併症

合併症には気管肉芽と気管腕頭動脈瘻が挙げられます。肉芽はカニューレの刺激や吸引カテーテルの刺激によってできやすくなります。肉芽ができやすい場合、カニューレの種類・サイズ・固定法の工夫で予防します。早期発見・早期対処が重要です。気管腕頭動脈瘻は発症してしまうと救命率は50%以下となる重大な合併症です。発症後に対処するのではなく予防が重量です。定期的な内視鏡検査・適切なカニューレ選択が重要です。また少量の出血が発症のサインであることがあるので、出血を認めたら速やかにファイバーで確認することが必要です。

 

喉頭気管分離と単純気管切開

誤嚥が多い児に対して単純気管切開のみを行った場合、かえって誤嚥が増加し吸引の頻度が増えてしまうことがあります。誤嚥が多い児で気管切開が必要に場合は、喉頭気管分離を考慮したほうがよい場合が多いです。

 

気管カニューレ交換の手順
準備するもの
・気管カニューレ ・Y字ガーゼ ・固定ひもなどのカニューレを固定するもの
・(必要があれば)人工鼻  ・(カフ付きカニューレを使用している場合)シリンジ
・クリーンコットン
手順
・石鹸で手を洗う。
・痰が残っている様であれば吸引をする。
・カフ付き気管カニューレの場合、交換前にカフに空気を入れて膨らむかどうか、破損がないかを見ておく。確認した後は空気を抜いておく。カニューレの先端に潤滑ゼリーをつける。
必要物品を処置中に手の届く場所においておく。
・首の後ろにバスタオルなどを置き、首を軽く反らせて体位を整える。
Y字ガーゼをはずす。
・固定ひもをはずす。
・カフ付きカニューレの場合はカフの空気を抜く。
・気管カニューレの翼の部分を持って気管カニューレを「つ」の字を描くイメージで引き抜く。
・気管切開孔の皮膚の状態を確認する。
・新しい気管カニューレを同様の「つ」の字を描くイメージで挿入する。
・カフ付きカニューレの場合は挿入後カフの空気を入れる。(カフ圧の確認)
・固定ひもを気管カニューレの片側に通し、首の後ろからまわして反対側にも取り付ける。固定ひもは指一本くらいの隙間がある程度の余裕を持たせて固定する。
・首を気管カニューレの間にY字ガーゼを挟む。
・児の顔色や呼吸の様子を観察する。