18.経管栄養剤について

 

経腸栄養剤の分類

経腸栄養剤には成分による分類として

1.成分栄養剤

2.消化態栄養剤

3.半消化態栄養剤

3種類があります。大きな違いは、タンパク質がどこまで分解されているかというところにあります。成分栄養剤はアミノ酸レベルまでタンパク質が分解されており、消化態栄養剤はペプチドレベルまで分解されています。半消化態はタンパク質は分解されていません。短腸症候群などでタンパクが分解しにくい方は成分栄養剤や消化態栄養剤がよいのですが、重症心身障碍児の場合は消化機能には問題がないことが多いので、半消化態栄養剤を選択されることが多くなると思われます。

半消化態栄養剤にも様々な種類がありますが、炭水化物・タンパク質・脂質の組成に大きな差はありません。ビタミン・微量元素・食物繊維などの含有量に差があり、状態に応じて選択をします。

 

経腸栄養剤のピットフォール

経腸栄養剤には、いくつかの微量元素や必須栄養素がほとんど含まれていないものがあります。それらの栄養剤を単独で使用する場合には欠乏症に注意し必要に応じて補充することが必要となります。医薬品の経腸栄養剤で不足しやすいものには、カルニチン・セレン・ヨウ素・鉄・亜鉛・銅などがあります。

最近、半固形化された経腸栄養剤が医薬品としても発売されました。胃の伸展が良好となることにより消化管神経反射が良好となること、胃食道逆流に対して有効であること、注入時間が短縮できることなど、反固形化によるメリットはたくさんあります。ただし胃から十二指腸への栄養剤の排泄不良がある症例には使用しないほうがよいこと、熱量あたりの水分の含有量が液体の経管栄養剤の半分程度しかないことが注意点として挙げられます。

 

経腸栄養剤の投与量

摂取カロリーの設定は医師が行う必要があります。年齢別の基礎代謝量をもとに、患者の活動性や呼吸努力に必要とする労力などを考えて基礎代謝量×1×2の間で設定します。その後は体重の増減を参考に摂取量を決定していきます。

診療報酬について

使用している栄養剤によって診療報酬が変わってきます。経腸栄養剤は医薬品と食品に分類され、医薬品の中に成分栄養剤・消化態栄養剤・半消化態栄養剤があります。食品は経済的負担が重くなるため、医薬品が使用されていることが多いです。

経管栄養にかかわる診療報酬としては、「在宅成分栄養経管栄養法管理指導料(2500)」がありますが、これは成分栄養もしくは消化態の栄養剤を使用しているときしか請求はできません。それ以外の栄養剤を使用しているときは「在宅寝たきり患者管理指導料(1050点)」が請求できます。ただし「15歳未満の小児」もしくは「15歳未満から経管栄養を継続しているものでかつ体重20kg未満」の条件を満たした場合は、どの栄養剤を使用していても「在宅小児経管栄養法指導管理料(1050)」を請求することができます。「在宅成分栄養経管栄養法管理指導料(2500)」もしくは「在宅小児経管栄養法指導管理料(1050)」には、「在宅経管栄養法用栄養管セット加算 (2000)」が加算できますが、「在宅寝たきり患者管理指導料(1050点)」には、「在宅経管栄養法用栄養管セット加算 (2000)」は加算できません。