18.間欠的導尿
間欠的導尿とは、一定の時間ごとに、または必要時に限り、尿道からカテーテルという管を入れて尿道にたまった尿を出すことを言います。膀胱にカテーテルを留置したままにする留置カテーテルを入れたままにする留置カテーテルによる導尿に比べ、移動や活動が行いやすいです。
(1) 準備するもの
・ネラトンカテーテル ・潤滑ゼリー(キシロカインゼリー) ・消毒綿(非アルコール性)Orウェットティッシュ(アルコール成分を含まないもの)のときは、丁寧に拭く ・オムツまたは尿器
(2) 導尿方法
@ 石鹸で手をきれい洗います
A カテーテルの挿入長さ(男児では7p、女児では3pを目安)を確認します
B カテーテルを取り出し、カテーテルの先端に潤滑ゼリーを付けます
C 陰部を清潔にします。右利きの場合は、お子さんの右側に立つとやりやすいです
男児の場合:利き手と反対の手で陰茎おもち、包皮を剥いて亀頭を出してふきます
女児の場合:利き手と反対側で陰唇を開き、尿道口を清潔にするようにきます
(男児の場合) (女児の場合)
*尿道口は一番清潔にします。そのため、往復させず一方通行であることを意識して下さい
D カテーテルを挿入します
陰部を清潔にするときに、保持した利き手と反対側の手はそのままにしておきます。利き手でカテーテルを鉛筆持ちのように持ちます
男児の場合:ペニスをゆっくり持ち上げ、ゆっくりカテーテルを挿入します
女児の場合:陰唇を広げ、陰核の下あたりを狙って挿入します
男児では7p、女児では3pを目安に挿入し、尿が出てきたら、1pほど進ませます
E 恥骨と臍のあたりに膀胱があるので、軽く押してみます。尿が止まったら、さらに1p挿入したり、カテーテルを回転させたりして、残尿をできるだけ排出させ、カテーテルをゆっくり抜きます
(3) 尿の観察
@ 尿量、色
A 混濁(血性浮遊物、白色浮遊物など)
*時間、毎回の導尿量、排尿があれば排尿量、尿の状態(血が混じっている、尿が濁っているなど、いつもと違う変化があれば)を記入しおくようにしましょう
<こんな時は・・・>
・尿が濁っている
発熱していなければ、様子を見ましょう。尿量が少なくなったり、混濁が増えてきたら病院に相談してください
・血が混じっている
小さな粒々や薄い物であれば、メモしておいて伝えてください。鮮やかな赤色であれば病院に相談してください
・オレンジ色の濃い尿である
水分量を増やしてみてください
・発熱があり、尿量が少ない・混濁がつよい・色が濃い
38.5度以上の発熱があり、且つ上記症状があったら、尿路感染の疑いがあります
引用・参考文献
1)重症心身障害児看護「医療的ケアを必要とする子どもの在宅看護マニュアル」.若山志ほみ他編.岐阜県看護協会編集・発行.2014.27−33
2)小泉恵子.NICUから始める退院調整&在宅ケアガイドブック.前田浩利編.Neonatal Care 秋季増刊.大阪.メディカ出版.2013.200-209
グリセリン浣腸
便が出ない時や、お腹が張って苦しくなってしまった時には、グリセリン浣腸をして便を出しましょう。グリセリン浣腸は、腸を刺激してお腹の動きをよくする効果があります。その効果により、排便や排ガスを促します。
(1) 準備するもの
・グリセリン浣腸液 ・潤滑剤(ワセリン、ベビーオイルなど) ・ネラトンカテーテル ・オムツ ・ティッシュペーパーやおしり拭きなど肛門を押さえられるもの ・注射器
(2) 浣腸の方法
@ 浣腸液の準備
<必要量をシリンジで吸う場合>
・グリセリン浣腸液を温かいお湯で、人肌程度に温めます
・チューブの部分をはさみで切ります
・シリンジで指示された量を吸い上げます
・シリンジに切ったチューブの先端かネラトンカテーテルを付けます。ネラトンカテーテルを使用する場合は、ネラトンカテーテルの分として薬液を2ml程度多く吸います。シリンジとネラトンカテーテルを接続した後に、ネラトンカテーテルの中を薬液で満たし、指示量にあわせます
(切った先端を付けた場合) (ネラトンカテーテルを付けた場合)
<浣腸容器をそのまま使用する場合>
・指示量を確認します
・30mlや60mlなどは1本まるまる使用します。(10mlなどの場合は、30mlの浣腸液が処方されているので、多い分を計量カップなどに出して捨てます
・グリセリン浣腸液を温かいお湯で、人肌程度に温めます
A
浣腸します
・食後は泣いたり、排便で腹圧がかかったりして嘔吐することがあるので避けます
・浣腸する体勢にします
・石鹸で手をきれいに洗います
・カテーテルを肛門から挿入します
乳児:3〜4p 幼児:3〜6cm が挿入する長さの目安です
・目安の長さまで挿入したら、薬液をゆっくり入れます
・カテーテルを抜き、ティッシュ等で3分ほど肛門を押さえます
・途中で便が出てきたり、排便後は、お尻をきれいにしてオムツ交換します
B 観察
「便はどれくらいでたか?」「便の硬さ・量はどのくらいでたか?」「血液や粘液は混じっていないか?」「お腹はすっきりしているか?」「顔色・機嫌はかわりないか?」観察します
*血が混じった赤い便や、白・黒色の便が出たときは、医療機関に相談しましょう
引用・参考文献
1)重症心身障害児看護「医療的ケアを必要とする子どもの在宅看護マニュアル」.若山志ほみ他編.岐阜県看護協会編集・発行.2014.27−33
(鍋島)